自然災害をイメージできなくては設計者ではない

ある物件の天井耐震キックオフ。

今回問われていたのは、

「何を持って安全とするか、安全と判断するか」。


これまで「建築基準法を遵守する」と、法を盾にぼやかしていた部分でもあり、敢えて踏み込んで説明していなかった部分である。が、今回は地震被害発生直後ということもありユーザーの意識が高かった。


基準法を満たして設計するのは当然のことだが、それは最低基準でしかない。

法という最低基準を超え、どうすれば数値以上に安全性を確保できるかという内容こそ、お客さんが求めてる(≒自分も知りたい)ことだと思う。


建築は、その意匠や形態やデザインに注目が集まるが、それを支える構造はそれ以上に重要だ。

今回の物件も、はじめに見たときは「キレイな建物だな」くらいしか思わなかった。

しかし実際、地震の際には、例えば、高天井の照明落下や渡り廊下の接合部崩壊etc、建築基準法に合致していても、まさに命に直結するような事態が無数に起こる。


構造は建築を支える骨格であり、様々な自然外圧と対峙し、安全安心を担うもの。

大地震、巨大台風、豪雪など人知の及び難い自然現象であり、科学で自然を制御できるというのは幻想でしかない。実際に、科学とは、実現象をある仮定の下にモデル化しているにすぎず、実現象そのものではない。

設計者には自然災害をイメージする力が必要

そのためには、自然災害に対する謙虚な姿勢と、真正面から向き合う姿勢が、設計者に不可欠だ。

気象変動の激化、都市化や稠密化により巨大化する自然災害に対して、それをイメージする力が設計者にますます求められている。

自然災害をイメージできなくては設計者ではないと、気持ちを新たにしたい。

(大阪事務所 物件統合ディレクター 斉藤 直)

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