【第6回】自然と一体化した建築~ムーゼの森 軽井沢絵本の森美術館/エルツおもちゃ博物館・軽井沢~

45周年エピソードの第5回目は、「ムーゼの森 軽井沢絵本の森美術館/エルツおもちゃ博物館・軽井沢(1990年・1992年・1995年・1998年)」のエピソードをご紹介します。

自然と建築が融合した類設計室の代表作でもあり、森の中で本を読んでいるような空間を敷地内の様々な場所で創り出しています!

今回は設計アドバイザーであった今井室長に設計当時の想いや現場でのエピソードをお聞きし、見学をしました。


○軽井沢の風土に根ざした美術館

ムーゼの森は、雄大な浅間山の麓の緑に包まれ、空気が澄んだ軽井沢の観光拠点の中心に位置します。周辺には塩沢湖や長野冬季オリンピックでも利用されたスポーツエリアがあるなど、日頃から地域の方親しまれています。

設計当時、軽井沢には都会的でモダンな建物が多く在りましたが、軽井沢への新幹線の開通を契機に、本来の軽井沢らしさを感じてもらえる地域に根ざした本源的な建築を目指すことになりました。


このプロジェクトは絵本を扱う日本初の美術館ということもあり、館長さんにとってもリスクのあるものでしたが、長い年月を自然とともに成長していける軽井沢らしい「自然と調和する絵本の美術館」を実現するため、莫大な時間を費やし試行錯誤を繰り返しながら設計を進めました。

柱や梁には、直接ぬくもりを感じてもらえるように丸太の建物を、石垣には浅間山の噴火で吹き出した浅間石(溶岩石)と、建物内外に森をイメージするような素材を用い、自然に溶け込む様に、絵本が楽しめる美術館を実現するために素材にもとことんこだわりました。


○建築も自然とともに成長する!!

実際に美術館を散策すると、開館当初とくらべ建物も周囲の木々とともに成長していることに気づきました!細かった木々は年月を積み重ねることで逞しくなり、木漏れ日の降りそそぐ小道を通る人の癒やしとなっています。

柱や梁も年月の年輪を感じる温かみのある、柔らかな雰囲気を醸し出し、塀に用いた浅間石にもコケが生えるなど敷地全体に生命感があふれていました。この間の年月を経て自然と共に建築も成長することで、実現しようとしていた「自然と調和する絵本の美術館」がよりイメージに近づいています。

見学時はたくさんの利用者さんがました。展示を、身を乗り出して覗き込んでいる子供や、家族で楽しそうに絵本を読んでいる姿がとても印象的で、実際にお話をさせてもらうと「この建物の雰囲気すごく好きで何回もきています!!」と言ってもらえたのがすごく幸せな気持ちになりました。

建築は「建物が建ったら終わり」ではありません。実際に利用され年月を重ねる中で、地域や自然、人と共に建築も成長していくのだと気付かされた見学でした。

(東京設計室 意匠房 内堀克哉)

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