【第2回】皆で創り上げた「日本人の美意識の象徴」~長野オリンピックスタジアム~

「45周年エピソード」の第2回目は、誌面では扱いきれなかった「長野オリンピックスタジアム」の誕生秘話をご紹介したいと思います。

「さくら」の花びらをモチーフにしたデザインは、どのような経過を経て誕生したのか。実際に設計を担当した方々にお話を伺いました。

無数のイメージの中から生まれた「サの神」

「サクラ」のモチーフが印象的なファサードデザインには「日本人の精神世界を表現したい」という想いが込められています。

具体的な形態に至るまでに、様々なスタディーが重ねられたとのこと。アイデアの中には「火炎土器」「御神木」「蓮」「鳥居」などもイメージされ、アイデアスケッチはスケッチブック数十冊にも及んだそうです。

そんな無数のイメージの中から、「サクラ」のモチーフに辿りついたのは、大阪・東京設計部から約60名のメンバーが参加した「コンセプト会議」でした。ここではコンセプトからデザインに至る経緯の共有、作品としての質をどう向上させるかが議論されました。

この「皆で創り上げるグループ追求の場」は、「少人数型」「志を共にする社外との協働」と、今もなお、引き継がれ、進化を続けています。

花びらの柔らかさを実現したい

花びらのデザインは、たたみ2畳分もの大きな模型を取り囲みながら、配置からディテール、さらには夜間のライトアップまで議論を重ねられました。シミュレーションソフトのない当時、夜間のライトアップ計画は模型に光ファイバーを取り付けて、デザインを確認していたそうです。

また、最も力を入れた「花びらの柔らかさ」の表現では、コストの壁により3次元曲面を用いたデザインを断念するなど逆境の連続。試行錯誤を繰り返し、辿りついたのが現在のデザインなのだといいます。

現地に訪れて感じた「建築物から放たれる熱量」。これは、繊細かつ大胆なデザイン・ディテールの裏にある「良いものをつくる!良い作品を残したい!」という当時の設計者たちの熱意だったのだと気付かされました。

20年以上も変わらずに、使われ続ける施設をつくるためには、設計者の熱量が何より重要。次の時代をつくっていくのは、他でもない自分たちなのだと気を引き締め、邁進していきます。

(東京設計室 企画房 柴田)

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