類設計室(東京事務所)

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テクニカルレビュー ~若手が安心して設計を進めるための組織のバックアップ~

こんにちは。設計室3年目の渡澤です。今日のテーマは『テクニカルレビュー』。聞き慣れない言葉ですよね。これは一般的な用語ではなくて類設計室の中だけで使われている用語なので聞き慣れなくて当然です。◆テクニカルレビューって?さて、まずこのテクニカルレビューとは何なのか、から説明しなければいけませんね。『レビュー』という言葉なら、デザイン系の人であれば何となくイメージできると思います。テクニカルはそのまま『技術的な』という意味。直訳すると『技術的品質管理の場』。これを更に建築設計に置き換えると『設計途中での検討内容の技術的品質管理』建築設計での技術的品質管理ってなんだろう?とピンと来ない人も居ると思いますので、よりイメージしやすくすると…「この屋根の設計で雨漏りしないだろうな?」「こんな所に窓を付けて大丈夫なのか? クレーム来たりしないか?」「この壁にぶつかって子供がケガしたりしないだろうな?」という感じで、一人の設計者の視点だけでなく、他の設計者の視点を入れて本当に今の設計の判断が正しいのか。もっと建物・利用者の事を考えた答えが出せるのではないか。と設計が終わる前に技術的な視点を基に、もう一度振り返る場を設けるのがテクニカルレビューです。◆何故わざわざレビューの場を設けるの?それは単に設計の品質管理のためだけではなく、『若手設計者が安心して設計に取り組めるよう、組織としてどうバックアップすべきか』を追求した結果、テクニカルレビューが生まれたのです。若手設計者とは私のような入社1~5年目のまだまだ経験の浅い設計者達。しかし、地域社会から期待されて建築設計の仕事を請けたからには若手だからと言って「全然わかりません!」では済まされません。でも一方で、建築設計をとりまく課題は、多種多様。雨・風・雪・火災・地震などの自然現象から、子供から老人まで様々な利用者の安心安全。建物の管理や実験機器などの特殊機械。etc…一朝一夕では捉え切れるものではありませんから、それ相応の経験が必要です。かく言う私も、膨大な課題の量の前に何度も頭が真っ白になりました。沢山設計しなければならないことがあるのは分かっていても、どれから手を付けて設計していけばいいのか。具体的にどうやって設計すればいいのかが分からず右往左往し時間ばかりが過ぎていく…組織としては、若手・中堅設計者の成長に期待して任せた物件が、どうにも上手くいかなくて若手からベテランの人まで皆モヤモヤが募っていた時期がありました。かといって手取り足取り教えている時間も余裕もそこまでありませんし、何より、ベテランの人の期待は「教えられるのを待つのではなく、実現するために自ら掴みにいってほしい!」「自ら物件を統合して、仲間を前進させる統合存在になってほしい!」という部分。その両者の事情や期待を共有し、若手・ベテラン垣根無く、どうすれば「前進感を持って設計に向かえるか」を話し合い、たどり着いたのがテクニカルレビューでした。◆実際にやってみると…ではどんな風にテクニカルレビューが行われるのか、私の場合を例に紹介しましょう。私の場合は某大学の開口・建具設計(ドアや窓・シャッターなどを特に設計する事)の課題がテーマでした。テクニカルレビューで重要になるのが、課題の照準を絞ること。そして、期限を明確にすること。X月X日までに開口設計一式を揃える!これは、何も短い期限を設けて若手設計者を苛めているワケではなく、寧ろ「短い期間の中で成果品として最低限何が必要で、どう段取りを組んでいけばいいか。優先順位はどれからか」という思考になるように誘導するためです。勿論、いきなり丸投げされるのではなく、最初に最低限の手順やポイントのレクチャーも受けます。全体で何ヶ月もある業務だと、そのスケジュールの中でどう進めていいか曖昧になりがち。その全体スケジュールを短くタームを切って、その期間若手設計者はわき目も振らず全力で走れるようにする、いわばゴールテープを設定するようなイメージです。ここでまた大事なのが、その期限を延ばさないこと。『期限までめいっぱい走りきって、例えその成果が不十分でも開示して、設定した期間の中でどのような設計思考で課題に取り組んだか』が重要なのです。成果品の品質も勿論重要ですが、それはレビュー後にブラッシュアップすれば良い事です。経験の浅い設計者が限られた期間の間に取り組んだ課題なのですから、何かしら不十分な点があるのは当然。寧ろ重要なのは、どこに照準を絞ったか・どんな手順で進めていったか・何故こう判断したのか、などの設計思考の部分です。テクニカルレビューの場は、品質管理の場であると同時に、人材育成の場。ただやる前から先人に教わるのではなく、まずは自分で一生懸命、見よう見まねで走った後に、先人達が塗り重ねてきた設計思考に触れる事で、深い気づきを得るのだと思います。さて、期限まで走りきった私の成果品をチェックしてくれるのは、なんと営業部長として次々と志高い仕事を取ってきてくれている清水さん。今ではすっかり営業マンの清水さんも、実は少し前まで開口設計を専門的に担っていた開口房のキャップとしてチームを率いていた、いわば開口設計のエキスパート。営業に移ってからは、その開口設計のノウハウを後継する機会がなくてやきもきしてたそうです。「よく頑張った!85点は取れてる! じゃあもっと良くするための視点を伝えよう!」と、私の成果品と設計手順を聞いて、清水さんは笑みを浮かべて言いました。私の出した成果品にはおかしい箇所や追求不十分な箇所に赤ペンの書き込みがビッシリ。でも不思議と落ち込んだりはしません。寧ろ、短い期間で取り組んだ課題が先人のアドバイスでよりブラッシュアップされて前進するのだと考えると、自分の追求成果が下敷きとなって設計が進んでいく前進感を感じました。

設計で大事にしていること~「対象への同化」

少し寒さが和らいだかな?と思いますが、まだまだ春は先ですね。今日は、類設計室の「計画房」についてご紹介したいと思います。計画房は、プロポーザル・コンペ、そして建物のデザイン、プラン、法規、構造、設備、コストなど様々な条件の全体像、未来像を見据え、カタチにしていくことを仕事にしています。プロポーザルでは、多くの設計事務所、建築家、ゼネコンと互いに一番良い案を提案する激しい闘いが繰り広げられます。そんな中、ぼくらが一番大事にしているのは、「対象への徹底的な同化」です。ここで対象となるのは、お施主さん、実際に使う人たちの思いはもちろん、気象や地形などの自然条件、歴史や地域特性・経済状況などの社会条件、素材・工法・構造など建築自身を始めとして無数に存在します。その一つ一つにどれだけ深く同化できるかが、多くの人が長く使っていただける良い建物なるかどうかの大きな分かれ目になると確信しています。それを実現するには、早い段階で、できるだけ多くの人の声を聞く事。類グループには「社内版」という全社が参加する掲示板があり、日々の活動や成果の報告がされています。もちろん、トラブルやうまく行かなかったことも。設計の仕事を進めていく上でも、教育部門や農園など他部門の声は大きなヒントになることがあるんです。また、設計が進んでいく各段階でレビューを行う仕組みがあります。